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第25話  

「松山社長、どうか怒りを収めてください!奥様を虐めないでください!」

 「家庭内暴力は犯罪です。奥様はあんなに素晴らしい人で、あんなにあなたを愛しているのに、彼女を虐めたら良心が痛まないんですか」

 「もしまた奥様を虐めようなことがあれば、私たちは全員退職します。そしてあなたを家庭内暴力の罪で法廷に訴えます!」

 これらの言葉を発したのは、松山グループの総務部の社員たちだった。彼らは以前から、篠田初に代わって松山昌平に愛情たっぷりの食事や贈り物を届けており、そのおかげで多くの利益を得ていた。こうしているうちに、彼らは篠田初を友達のように見なすようになっていた。

 松山昌平と篠田初は、まだお互いに微妙な姿勢を保っていた。

 遠くから見ると、まるで松山昌平がその大柄な体を利用して、か弱い篠田初に乱暴を働いているかのように見えた。

 まさに......畜生以下の行為だった!

 この瞬間、松山昌平は公衆の怒りを引き起こした。彼の最も信頼されている助手、東山平一さえも篠田初を擁護するために声を上げた。

 「松山社長、これは言わせてもらわないといけません」

 「奥様は、なんて素晴らしい人なんでしょう。何年も社長の妻として、勤勉で真面目に尽くしてきたのに、社長は彼女を裏切った......」

 「裏切った上に、まだ離婚協議書にサインしていないとは、少しやりすぎではないですか!」

 東山平一がそう言うと、彼はまたニヤニヤした表情を見せ、死を恐れずに松山昌平の地雷を踏もうとした。

 「松山社長、もしかしてまだ奥様を愛しているから、離婚協議書にサインしたくないんじゃないですか」

 この一言で、その場にいた全員の賛同を得た。

 「絶対そうです!松山社長の不倫は一時の気の迷いで、愛しているのはやっぱり奥様ですよ......」

 「愛人なんかより奥様の方が断然素晴らしいです!新鮮味を求めただけですよ!」

 「松山社長、恥ずかしがることはないですよ。愛しているなら愛しているって、大っぴらに認めちゃいましょうよ。奥様に謝れば、きっと許してくれるはずです!」

 「私だったら、とっくに跪いて謝ってますよ。男のプライドなんて、愛する女性のためなら大したことじゃないですから!」

 これらの社員たちは、自分たちがこんなことを言ったら大逆無道で、いつ仕事を失ってもおかしく
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